第六回 相談の受け方を変えてみる

メンバーから相談を受けた時にどのように接しているかな?相談は「自ら答えを導き出せないから、答えを求めてする行為」だよね。だから、一緒になって答えを模索するってなっていると思うんだ。もちろんこれは正しい行為だよ。でも少しやり方を変えると、メンバーの本質を見抜く力を向上させることができるんだ。

答えは本人にしか分からない

相談は答えを求めてきているのに、本人にしか答えが分からないなんて矛盾しているように感じるけど、これが現実なんだと思うんだよ。相談してきた人が相談するような状況におちいった背景なんかを誰よりも知っているのは相談してきた当人なんだから仕方ないことだと思うんだよね。でも、相談を受けている人は時々相談を受けている途中で答えが見えちゃったりするもんなんだよ。でも、ちょっと待ってほしいんだ。ぜひ、その答えを質問してきた当人から導き出してほしいんだ。もし、ここで答えを教えてしまったら、相手から考える機会を奪ったり自分の答えを押し付けたりすることになるんだよ。
じゃ、相談されたときに何をすればいいのかな?相談した人自身が答えを導き出せるように、答えへの道筋を立てるんだよ。じゃ、道筋を立てるためには何をしたらいいのかな?良くやるのはヒントを与える事だけど…上手にできる人なら良いけど、上手にできないと答えを教えない意地悪な人に認定されかねないよね。だから、「なぜ?」って繰り返して問いかけをするんだよ。
あれっ!?って思った人が多いと思うけど、ディスカッションの手法で紹介した「なぜ?」を繰り返し問いかけるのと同じなんだよ。意外に相談する人って言うのは自身で自信の無い答えを持っていることが多いんだよ。むしろ、確実に持っているって言っても良いかな…。単に言葉に表すことができなかったりするだけかもしれないんだよ。だから、順序立てて考えてもらうために「なぜ?」って言葉を投げかけるんだよ。

「なぜ?」を繰り返すという手法

実はこの手法には「コーチング」と言う名前が付いているんだよ。コーチングは答えは相手が必ず持っている前提の手法なんだ。コーチングを行うポイントは以下の通りだよ。

  • 相手の話を正確に聴く
  • 質問を投げかける
  • 上記のために適宜振り返る

それぞれについて説明してみるね。

相手の話を正確に聴く

相手の話を積極的に聴くことは、相手から話(ヒント)を引き出すことにつながるんだよ。つまり、話を積極的に聴いていることを相手に伝えることも重要になるんだ。単に話を聴いているとただ聞いているのか真剣に聴いているのか、相手の人は探りを入れないを良くわからないよね。簡単に相手に積極的に聴いていることを伝えるためには、「適宜相づちを入れる」ことと「発言への賛同」をすればいいんだよ。「うん…うん…XXXなんだねぇ」って感じだね。これによって、相手は積極的に聞いてくれていると思ってくれるんだよ。
表題にあえて「正確に」と入れたのは、人は話を聴いていると自然と推測を入れてしまうモノなんだよ。例えば、Aさんから相談を受けて「Bさんと折り合いが悪い」って言われると、Aさんのコミュニケーションの取り方が悪いのか、Bさんのコミュニケーションの取り方が悪いのかと考えてしまうよね。確かにどちらかのコミュニケーションの取り方が悪いのかもしれないけど、ここで読み取らないといけないのは「Aさんは「Bさんと折り合いが悪い」と思っている」って事なんだよ。
この捉え方の違いによって、次に説明する「質問を投げかける」の内容が変わってきちゃうんだ。

質問を投げかける

基本的にには「なぜ?」って質問を投げかけるんだよ。これをすることによって、質問した人は理由を考えるようになるんだ。理由を考えると言う事は、突き詰めていくと本質を見抜くことにつながるんだよ。それにこれは、質問を受けている人が早急に答えを求めようとすることを抑制する効果もあるんだよ。先ほど説明した「Bさんと折り合いが悪い」を例に説明するよ。
もし、「AさんかBさんのコミュニケーションの問題だな」と捉えてしまうとAさんに対して「BさんはAさんにどんなコミュニケーションを取ったの?」って質問になっちゃうと思うんだよ。この質問を良く見てみると相談を受けた人の「Bさんのコミュニケーションに問題がある」って潜在的に思った事をAさんに押し付けていることになってしまうんだ。Aさんから見ると「味方してくれそう」と思うかもしれないけど、相談された立場から見れば中立的なポジションを取るべきだからこれは良くないよね。
先ほど説明した通り「Aさんは「Bさんと折り合いが悪い」と思っている」と捉えた場合は、Aさんにたいして「なんでBさんとの折り合いが悪いと感じるの?」って質問になるよね。Aさんから見ると「味方してくれるかどうかは分からないけど、なんでだろう?」って思ってくれるんじゃないかな?これで、Aさんは理由を考え始める(本質を見抜こうとする)ことにつながるんだよ。それにこれなら、相談を受けた人の主観が上手に取り除かれていて中立的なポジションを取ることになるよね。
質問を投げかけた結果、Aさん自身が本質を見抜いて答えを導き出せれば、答えを教えてもらうより大きな納得感が得られるんだよ。

適宜振り返る

これは「正確に話を聴く」ことと「質問を投げかける」ことを補助するための行為だよ。相談を受けていると話が発散して質問内容が分からなくなっちゃうことがあるんだ。だから、質問した人・受けた人双方のためにも適宜振り返るころが必要になるんだよ。

コーチングの効果

コーチングを繰り返すことによって本質を見抜く(考える習慣)が身に付くんだよ。また、自ら導き出した答えに対して、答えを教えてもらうより、より大きな納得感を得られるんだよ。コーチングの詳細についても、いくつか本が出版されているからそちらを読んでみてね。