従業員満足度調査の方法
従業員満足度向上をやっていると、当然の事ながら自社の満足度がどのくらいなのか気になると思うんだ。満足度が分かったとしても、どんな要因で満足度が高いのか?(または、低いのか?)が分からないと、従業員満足度向上の施策を(社員が)考えられないんだよ。もちろん、今まで説明してきたとおり、会社を変えるのは従業員たちなんだ。身近な課題から片づけていくものありだと思うのだけど、より効果的な施策をしたくなったときには、やっぱり何が要因でどこに対して施策を打てばいいのか知っていないと出来ないんだよ。
アンケートの構成
一般的に従業員満足度は無記名のアンケートで計測するんだよ。アンケートは基本的に大きく3つの部分で構成するんだ。
- 基本情報
「職責」「年齢(勤務年数)」「性別」「部署」等だよ。 - 満足度に関する設問
端的に「満足しているか?」を調べるための設問だよ。 - 要因に関する設問
満足度に関連する要因を調べるための設問だよ。
ヒアリグでやっても良いのだけど、ヒアリングだと聞く側と言う側の力関係が発生したりして、本音を引き出すことが難しくなるんだ。やっぱり、本音を引き出すためには、誰が発言したのか分からない様にすることが大切になってくるんだ。
基本情報
誰が発言したか分からない様にするためには、基本情報の設問を減らす必要が出てくるんだよ。例えば、大きな会社だと部署によって傾向が変わるので、「部署」の設問は意外に外せない項目になるよね。そんな中で、「性別」を聞くような設問を作った場合、男女比が1:1になっているなら誰が発言したかなかなか分からないかもしれないけど、男女比が偏っている場合は特定できてしまう場合があるんだよ。その他にも、「従業員の少ない部署」や「年齢層が偏っている部署」が有ったりすると、設問によっては個人が特定できてしまう場合があるんだ。
そういう意味で、基本情報の「職責」「年齢(勤務年数)」「性別」「部署」などには、細心の注意を払って設問を準備する必要があるんだ。
「満足度」と「要因」を別々に計測する
次に「満足度」と「要因」に関する設問だけど、これは別々にとる必要があるんだよ。なぜなら、何に満足するか(もしくは、不満を感じているか)は人によって異なるからなんだよ。例えば、給料を基準に満足度を得られる人も居れば、上司に認められることに満足する人も居ると思うんだ。これを「要因」の設問だけから抽出してしまうと、分析側の主観で満足度を計測してしまうことになるんだよ。どういう事かと言うと、分析側が「これが上がれば満足度が上がる」と言う想いのみが反映されてしまって、従業員それぞれの想いが反映されなくなってしまうんだ。
「満足度」と「要因」を別々にとったとして、どれとどれが関連しているのかをどうやって知るのか?という疑問が上がってくると思うけど、それについては後で説明するね。
「満足度」に関する設問
「満足度」に関する設問は、端的に質問することが必要になってくるんだ。例えば「あなたは会社に満足していますか?」とか「今の所属している部署に満足していますか?」と言った感じなんだよ。とにかく「~に満足していますか?」を繰り返す感じなんだ。かなり「曖昧さ」がある設問だけど、ここでは「どう感じているか?」と言った、従業員が感じている感覚を主観的に回答してもらうのが目的なので、細かく設問してはいけないんだよ。
そういう意味で「~が出来ていると思いますか?」と聞いてしまうのは良くないと思うんだ。このように質問してしまうと、「~が出来ている事は、満足度を上げるに違いない」って分析側の想いが表面化されてしまって居るよね。従業員たちはこの設問を見て、「~出来ていることが評価されることにつながる」って心理的に感じてしまうんだ。これは、会社から従業員への価値観の押し付けになりかねないんだよ。
要因に関する設問
「要因」に関する設問は、意外に簡単に思いつくと思うし、ネットで調べると意外にたくさん見つかると思うんだよ。例えば「職場や会社のコミュニケーション」に関する設問や「上司のマネージメントやリーダーシップ」と言った設問になるよ。ここの設問は「満足度」の設問と違って、感覚ではなくて「できている/できていない」を計測する必要があるんだ。
と言っても、いきなり洗い出すのは難しいと思うので以下に代表的な例をあげてみるよ。
- 会社と従業員に関する項目
- 事業方針が伝わっているか?
- 適切に評価されているか?
- 上司と従業員に関する項目
- 上司とコミュニケーションが取れているか?
- 上司は適切にマネージメントをしているか?
- 上司はリーダーシップを発揮しているか?
- 個人に関する項目
- 個人の人生目標を立てて仕事ができているか?
- 上司に認められていると感じられているか?
あくまでも代表的な例だから、これがすべてではないんだよ。とにかく、従業員満足度の計測結果は「~が出来ている部署は~の満足度が高い」って表現したいんだ。その要因部分なので、「主観的な感覚」ではなく、「出来ている・できていないの評価が」が必要になるんだよ。
「満足度」と「要因」の関係性(分析)
ここまでは、どちらかと言うと「アンケートの構成」の話だったのだけど、ここから先は「アンケートの分析」の話になるよ。アンケートを実施して「満足度」と「要因」の情報が計測できたと思うんだよ。この結果を使って、「満足度」と「要因」の関連性を分析するんだよ。急に数学的な話になっちゃうのだけど…この関連性を調べる手法として、統計学の「相関分析」や「最小二乗法」ってモノを使って分析するんだ。
概要?はWikipedia様にお任せするよ…(笑)
Wikipedia – 相関係数
Wikipedia – 最小二乗法
相関係数
相関係数は、例えば「会社に対する満足度」を縦軸に「上司のコミュニケーション」を横軸にとったとして(これは散布図だね)、「会社に対する満足度」が上がると「上司のコミュニケーション」が上がっていると、相関係数が1に近づいて行くんだよ。逆に「会社に対する満足度」が上がると「上司のコミュニケーション」が下がる場合には、相関係数が-1に近づいて行くんだ。つまり、相互の情報に関連性があるかどうかが見れるんだ。1や-1に近づくほど関連性が強いって言えるんだよ。
一応、計算式は以下の通りになるよ。
ここで、xの上にバーは横軸にとったデータの平均値、yの上にバーは縦軸にとったデータの平均値だよ。
でも、相関係数だけ調べても影響の強さが見れないんだよ。相関係数は直線状になれば1や-1に近づくので、例えばアンケートを5段階評価で計測したとして、「会社に対する満足度」は2.5~3.5の範囲のデータで、「上司のコミュニケーション」のデータが1~5の場合でも、関連性が強ければ(直線状になっていれば)1か-1になってしまうんだ。この場合、「上司のコミュニケーション」に対する施策をしても、「会社に対する満足度」への影響が小さくなっちゃうんだよ。
最小二乗法
そこで登場するのが、最小二乗法なんだ。最小二乗法は散布図に対して近似曲線を求める方法なんだよ。曲線て表現しているんだけど、求めるのは一次曲線(直線)で良いんだよ。上記の「会社に対する満足度」と「上司のコミュニケーション」の場合、相関係数が1や-1に近くても、最小二乗法で求めた一次近似曲線の傾きは0に近くなるはずなんだ。逆に、相関係数が1や-1に近くて、一次近似曲線の傾きが1に近い(またはそれ以上)の場合は、施策を行えば大きな効果が期待できるって言えるんだ。
一応、計算式は以下の通りだよ。
傾き
切片(蛇足)
今回はこんな感じで…アンケートそのものに関する細かいテクニックは、インターネットを調べると色々出てくると思うんだ。細かいところはそちらを参考にしてほしんだよ。
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