第四回 段階上昇のアプローチ
前回、段階上昇のアプローチについてダメな例をあげたよね。1番目の施策はアプローチの段階が低いから駄目だったんだけど…実はその他のアプローチには決定的な欠点があるんだよ。その欠点と言うのは「社員満足を上げさせる施策」となっている事なんだよ。「社員満足を上げさせる施策」の本質って何なのかな?
社員満足は「上げさせる」モノではない
人によって満足を得られるものはバラバラと言う話を第一回に話したよね。満足が得られるモノがバラバラなのに「上げさせる」って施策は有効なのかな?これって言葉を変えると会社から社員に対して「満足しろ!」って言っているのと同じなんだよね。「満足しろ!」って言われて満足できる人は会社にどのくらいいると思うかな。たぶんだけど、ほとんどの人はそうは思わないと思うんだよね。(思える人はワーカーホリックかもしれないね)
「上げさせる」施策じゃなければどんな施策をすればいいのかな?ここですぐに思いつきそうなのは「下げさせない」施策だよね。もちろん下げさせない施策も大切なんだよ。でも…今ここで議論しているのは「上げる」施策なので、ここではあえて棚上げするよ。
「じゃぁ何なんだ!」って言われそうだけど…社員満足の主人公は誰なんだろう?会社が主人公だったら「上げさせる」施策が最も有効な気がするけど、社員満足の主人公は「社員」なんだよね。実は会社は脇役なんだ。脇役は主人公がより引き立つようにしてあげないといけないんだよ。つまり、会社は「社員に社員満足を引き上げてもらう」施策をしないといけないってことだね。
施策を見直してみる
ここで、前回の2番目と3番目の施策を見直してみるよ。
コミュニケーションを取ってもらう
社員にコミュニケーションを取ってもらうには何をしたら良いのかな?コミュニケーションを取れるような場(ミーティング)を設定したらどうなるだろう?これじゃ、前の施策と何も変わってないよね?場を設定してもそれが社員にとって押し付けと感じられてしまったら、たとえ会社にとって「上げてもらう」施策をやったつもりでも、社員からすれば「上げさせる」施策になってしまうんだ。
では、社員に「上げてもらう」ためには何をしたらいいのかな?実はこの問いかけを社員にすると、社員自らが満足度を上げることになるんだよ。もちろん少し言い方は変えないとダメだよ。つまり、「コミュニケーションを取りたいのだけど何をしたらいいのだろう?」という問いかけを社員にするんだよ。これをしてみると意外な効果も得られることがあるんだよ。
「コミュニケーションを取りたい」と言う問いかけをすると「コミュニケーションて何?」って議論に発展することがあるんだ。これは社員がコミュニケーションの本質をつかもうとしている行為で、もしその本質にアプローチできる施策を社員が実行に移したら、効果は大きいしなによりこの行為は第五段階(自己実現の欲求)への第一歩になるんだ。
もう一つ大切なことを言おうと思うよ。それは、社員が考えた施策は会社が全面的にサポートして実行に移させるって事なんだ。少し大げさに言ったけど、例えば社員が毎月1回飲み会をやりたいと言ってきたら、上司は快く承諾してほしいんだ。(もちろん積極的な参加も必要だよ)それじゃないと、「考えさせるだけで結局実行に移せない→言っても(考えるだけ)無駄」って社員は思ってしまうんだよ。
自分の将来像を描いてもらう
これに対する施策は前出のコミュニケーションとアプローチが変わるよ。同じように「自分の将来像を描いてほしいんだけど何したらいいのだろう?」とアプローチをしてしまうと、もしかしたら「それを考えるのが会社だろう」と思いもよらない非難をされてしまうかもしれないよ。なぜかと言うと、コミュニケーションは集団に関する問いかけだけど、将来像は個人に対する問いかけだからなんだよ。個人に対する問いかけについては少しアプローチが変わってくるんだ。(もちろん個人に対する問いかけなので会社が考えることではないよ)
個人に対する問いかけを行う場合は、1対1でその人に対して「なぜ?どうして?」を繰り返し問いかけることが重要になってくるよ。何をさせているかと言うと、自己分析を徹底的にしてもらって自らの欲求の本質に気が付いてもらおうとしているんだよ。
考える習慣をつけさせる
前出の施策はバラバラに見えるけど、共通ポイントがあるんだよ。それは「本質を考える」って行為なんだ。SEの仕事って言うのはとにかく異常に忙しいから、目の前の仕事を片付けるので精一杯の状態だと思うんだ。この仕事から少し引きはがして、徹底的に深く考える機会(本質を見抜く)を与える事が、会社の施策であって社員満足向上の施策の本質なんだよ。
これを繰り返して、深く考える習慣やテクニックが社員に身に付くと、社員は自ら深く考える事の重要性に気が付いて…自発的に行動する重要性に気が付いて…つまり第五段階に自然移行していくことができるんだよ。
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