「働き方改革」と「従業員満足」

2019年2月22日

あくまでも、持論だから真に受けないようにお願いします。そのかわり、異論・反論は、大いに受け付ける所存ですwww。

働き方改革って言葉が世間を賑わすようになって、もう数年経たった。きっかけは電通だったような気がするけど、それ以来「残業を減らしました」とか「週休3日」とか「有給休暇の取得率を上げた」とか…いろいろな声が聞こえるようになった。

特に「残業」に関しての情報が溢れていて、もはや「働き方改革=残業0」って感じるくらいになってきている。まぁ確かに色々調べてみると、日本の企業人は「残業」だけを見てみると、「働き過ぎ」のように見える。

はたして、本当に日本の企業人は働きすぎなのだろうか?

「働き方改革」の目的

つい1年前くらいは、インターネットで「働き方改革」の目的を調べようとすると、なかなか見つからなかった。厚生労働省のホームページですら、目的に関しては掲載していなかった。で、改めて調べてみると…

我が国は、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面しています。
こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています。
「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。

「働き方改革」の目指すもの https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html

おお!載ってるwww

色々なことをいっぺんに言っているような気がするけど…。要約すると「少子高齢化で労働人口が減るので、今まで仕事を辞めてしまっていた人が、継続して働ける職場環境を整える」ってことで、これが目的と言える。

ぶっちゃけ、残業のことなど一言も言っていないwww

あえて関連付けるなら、事情により残業できない(例えば、育児や介護)人が、「残業をしない選択ができる」環境を整える…くらいな感じ。(残業をしなければ、育児や介護をしながら仕事ができるのだろうか…という疑問は棚に上げる)

「 投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題 」と明確に書いてあるので、まぁ残業0は手段の1つとして他にもやらなきゃいけないことがたくさんあるだろうことは想像に容易い。

「従業員満足」との関係

さて、「働き方改革」の目的と課題を見てきたけど、この課題はいくつかに分けることができる。

  • 投資やイノベーションによる生産性向上
  • 就業機会の拡大
  • 意欲・能力を存分に発揮できる環境を作る

大きくこの3つを課題として掲げている。このそれぞれの課題と従業員満足との関係を1つずつ見ていく。

「生産性向上」と「従業員満足」

従業員満足が社員のモチベーションに関わっているのは、なんとなくでも理解できると思う(実際にはまさにその通りだけど…)。そういう意味では、「従業員満足」は「生産性向上」に関連していると言うことができる。

しかし、この課題には「投資やイノベーションによる」と明確に記載されている。となると、関連性が薄くなると言わざるを得ない。

もちろん、「従業員満足」が向上してモチベーションが向上し、その結果、視野が広がって、イノベーションが…とも考えられるが、あまりにも間接的すぎる感じが否めない。

「従業員満足」がこのような人材の育成を目指していないわけでは無い。それはあくまでも「経営」や「イノベーター」に興味を持って、本気で取り組もうと思う人が現れた結果と言える。つまるところ「従業員満足」が向上した結果と捉えることができる。

「就業機会の拡大」と「従業員満足」

「就業機会の拡大」とは、おそらく「産休・育休」や「時間短縮勤務(いわゆる時短)」「介護休暇」「在宅勤務」などなど、様々な事情により就業の継続が難しい状況に対応して、継続的な就業が実現できるようにということだろう。

これを実現するのは「就業規則」ではないだろうか?そういう意味では「従業員満足」との関係は薄いと言わざるを得ない。

ただ、これについても前出の「生産性向上」と同じく、会社に意見を言える人材の育成および風土の醸成と捉えれば、「従業員満足」と関係有るとも言える。

もちろん、人として成長して「軸(ポリシー)」を持てるようになることが必要となる。「従業員満足」と「人の成長」には、密接な関連がある。人が成長した結果、社員から「就業機会の拡大」に関連する要望が上がってくると考えると、少し強引だが、これもまた「従業員満足」が向上した結果と捉えることができる。

「意欲・能力」と「従業員満足」

「意欲・能力を存分に発揮できる環境を作る」は、「従業員満足」と関係が深い。継続的に従業員満足が上がり続ける(高い状態を維持できる)環境は、まさに「意欲・能力を十分に発揮できる環境(風土)を作る」ことにほかならないからだ。

ここまで、「働き方改革」と「従業員満足」の関係について見てきたが、どう感じただろうか?もちろん、持論なので荒削りの部分が有るとは思うが、大きく違っていることは無いかと思う。「従業員満足」の観点で「働き方改革」を見ると、おおよそ「働き方改革」が抱えている課題は「従業員満足」で解決できるように見える。もちろん、「従業員満足」観点での物言いなので、「経営」観点からだと違う世界が見えるのではないだろうか。

「働き方改革?」

さて…ここまで話をしてきて、昨今の「働き方改革」にツッコミを入れたいと思う。あなたの会社で実施されている「働き方改革」は、本当に「働き方改革」と呼べるものなのだろうか?

私の従業員満足度活動と関わりのある人(いわゆる同僚なのだが…)が、面白い表現をしていた。

「働き方改革」ではなく「働かせ方改革」ではないか?

実に的を得て面白い表現だと思う。会社が主導で「働き方を変えろ!」と言って、社員が望んでいない働き方を選択させられている状態は「働かせ方改革」と言えるのではないだろうか?

社内で在宅勤務のルールができたとする。数ヶ月経った後、利用回数(利用率?)を見てみると、思ったより利用されていない。「会社としてせっかく作った制度なのだからもっと利用してほしい」という気持ちは理解できる。だからといって、各部署に利用回数のノルマを課して、利用回数(利用率?)を上げようとし始めると…何のために作った制度なのか分からなくなってきてしまう。

会社が直接的に「働き方改革」に関われるのは、前出の課題に有る「就業機会の拡大」だけ、と言っても過言ではない。とにかく、働き方の選択肢を増やして、社員が様々な働き方を選択できる状態を作ることだけだ。

他の2つの課題に会社が取り組むには、間接的に関わることしかできない。実際に手を動かしているのは人だからだ。その人がどう思って、どのように行動するかに依存している。これは、まさに「従業員満足」の範疇であり、2つの課題を解消するためには、「従業員満足度」を向上させる必要があると思っている。

まぁ、こんなことを言っても「鶏と卵だ!」の一言で片付けられてしまうのだろうけど…