モチベーションを維持するために

モチベーションを維持するためには、自らモチベーションの源を見つける必要がある。内容は何でも良い。家を建てたい、車を購入したい、など色々有るかと思う。人によっては、人の役に立ちたい、社会に貢献したい、などがモチベーションにつながっている人もいるだろう。

しかし、これが会社の仕組みになった途端、様相が変わってくる。「頑張れば報奨を出すから、頑張りなさい」と言った感じだ。従業員満足度向上活動をしていると、報奨金等を用いてモチベーションを高めようとする手法が取られることが少なくない。従業員満足度活動に関わらず、既にそのような仕組みを持っている企業も多いのではないだろうか?

報奨金等を与えることのメリット・デメリットをしっかりと把握必要がある。何事もそうだが、メリット・デメリットをしっかりと把握した上で、施策に移ることが大切だ。メリットの方が大きいなら採用、デメリットのほうが大きいなら不採用すれば良い。

メリット

仕組みが作りやすい

何かしら会社に貢献した人に報奨を与える仕組みは、多くの企業で採用されているかと思う。報奨の基準を考えるのが少々厄介だが、基準を作らずに経営者が判断する場合もあるだろう。どちらにしても、「こんな報奨制度を始めます」と宣言すれば、簡単に始めることができる。この手軽さは、大きなメリットだろう。

会社に貢献した人には限らない。資格を取った人に報奨を制度も、多くの企業が採用している。前出の貢献に比べると、更に仕組みが作りやすい。何しろ、「資格を取る」という、明確な基準がある。昇給にするか報奨にするかは迷うところかもしれないが、どちらにしても仕組みとしては組み込みやすい。

従業員満足度が上がりやすい

お金や名誉は満足度に直接働きかける。ゆえに、報奨などの仕組みを導入することで、容易に従業員満足度を向上させることができる。社員にとっては、自分自身が頑張れば頑張るほど、報奨がもらえるのでモチベーションも向上する。

また、名誉の様な報奨は、従業員から見ると「認められた」と感じることができる。マズローの欲求段階説の言葉を借りれば、「承認欲求」が満たされたと感じてもらえる。これはこれで、従業員満足度を向上させる要素の1つと捉えることができる。

ただ…報奨の仕組みは両刃の剣だ。このことを理解してもらうために、次はデメリットを上げていこうと思う。

デメリット

当たり前になってしまう

報奨は与え続けると、それが当たり前になってしまう。当たり前になると、魅力を感じなくなってしまう。これは、報奨で従業員満足度を向上させようとしている場合、致命的になる。

魅力を取り戻すためには、どうすればよいのであろうか。一番簡単に思いつくのは、報奨をより良いものにすることだ。報奨金や商品券であれば、金額を上げる。名誉であれば、より上の組織からの名誉にする。そうすれば、魅力を取り戻すことができる。しかし、これもいつかは当たり前になってしまう。

結局、報奨は魅力が亡くならないように、継続的により良いものに変えていく必要がある。潤沢に資金がある企業ならできるかもしれないが(いや、潤沢に資金が企業であっても)、継続的に報奨を良いものにし続けることは難しいであろう。

別の方法として、報奨の対象を広げる方法もあるかもしれない。また、新たな報奨を設けることもできる。しかし、会社全体として報奨に使用する費用が増えることには変わりない。

報奨を期間限定にする方法もあるかもしれない。しかし、報奨を与えている期間は満足度が上がるかもしれないが、期限に達すると元に戻ってしまう。季節限定にしても同様だ。そもそも、社員が時期を知ってしまうと、その期間を狙うようになる。行き着く先は、マクドナルドだ。

「止める」決断をしたときにはもう遅い

報奨が上がり続けることを危惧して、報奨を辞める選択をする場合がある。容易に辞めることを選択してしまうと、痛い目を見る。こんな研究結果がある。

[blogcard url=”https://www.bodoge-intl.com/column/mba/soma/” title=”ボードゲーム欲とソマパズル~MBA第9講~ | Board Game to Life” content=”ボードゲームをするたびに100円貰えるようになったら、報酬が無くなった際に、ボードゲームに触れなくなってしまうかもしれません。”]

少し説明の内容が本内容と異なるが、モチベーションに関する有名な実験だ。ポイントは以下の3点だ。

  1. 報奨を与えると、その時のモチベーションは向上する
  2. 報奨を与えて向上したモチベーションは継続しない
  3. 報奨を辞めた時、与えなかった場合と比べてモチベーションが低下する

この結果を見てどう思うだろうか?「うちの社員に限ってその様な事にならない」「日本人と外国人では、特性が異なる」色々と言いたいことはあるだろう。しかし、心理学は「文化・文明によらない、人の特性」である(因みに、文化・文明による違いは、文化人類学などが該当する)。これを知っても、同じことが言えるとは思えない。

眼の前に餌をぶら下げるようなことはしない

眼の前に餌をぶら下げて得たモチベーションは、その時限りだ。継続して、モチベーションを維持するためには、目の前に餌をぶら下げない方法を取る必要がある。とは言え、企業にとって貢献した人・組織を、称賛しない組織はそれはそれで経営が社員を見ていない様に思われかねない。では、どの様にしたら良いのだろうか?

オリンピック選手など、世の中には賞を目指してモチベーションを維持している人たちもたくさんいる。この様な人たちは、それこそ金メダルを目指している。これも、目の前に餌をぶら下げられている様に見えるが、モチベーションをコントロールして維持できている。一体、何が違うのだろうか。

コーチや監督のやり方によって異なるかと思うが、共通して言えることがある。それは、「結果ではなく、過程を尊重すること」だ(他のHPを見ると“褒める”と書かれていることが多いが、ここではあえて“尊重”という言葉を使用する)。結果が良くても悪くても、過程を尊重する。

過程を尊重するということは、結果を得るまでの行動を尊重していることと同意だ。その努力を尊重するということは、またその努力をする(内発的な)動機付けとして働く。よってモチベーションは、継続しやすくなる。この様な効果を「エンハンシング効果」と呼ぶ。

しかしこれを、全社でおこなうと、どうしても結果に目が行きがちになってしまう。これを回避するためには、日常的に過程を尊重するようにすることだ。些細なことでも良い。日常的に「過程を尊重する文化」を醸成してみてはいかがだろうか。