第二回 従業員満足度を上げてもらおう!

従業員満足度を向上させようと活動を始めると、最初に思いつく方法って社員の不満を聞いてそれを改善するって方法だと思うんだよ。もちろん、それ自体は間違いではないし、重要な施策なんだ。でも、僕の前任の経験談からすると、不満ばかり聞いていても従業員満足は向上して行かないって事なんだ。

これは僕の前任で従業員満足度向上活動をしてた、先輩の話なんだ…

過去の失敗

会社で従業員満足度向上活動を始めたのは、僕の会社の親会社が従業員満足度の調査を初めてその結果が公開されたときだったんだ。グループ会社(SE会社)の中でも、従業員満足度が底辺であることがそのアンケートで判明したんだよ。その時の社長は社員が元気でないと会社は崩壊するって危機感を持って、社長を筆頭に役員が取りまとめ役になって推進し始めたんだ。

と言っても、従業員満足度が何たるかが全く分かってなかった頃だったから、とりあえず社員が抱えている不満や要望を吸い上げて、それに対策を打つやり方を始めたんだよ。例えば、非喫煙者が「休憩スペースが欲しい」と言えば、リラックスルームを作ったり、マッサージチェアがほしいと言われれば購入し、オフィスグリコがほしいと言われれば契約をするって感じだったんだ。これを、一年間続けたんだよ。そして、親会社の従業員満足度調査が改めて実施されたんだよ。

もちろん、従業員満足度向上活動をしていたメンバーは、色々やったんだから従業員満足度が急上昇していることを期待したんだ。だけど、その期待は見事に裏切られたんだよ。従業員満足度は下がりはしないものの、微増しかしていなかったんだ。従業員満足度向上活動のメンバーはこの結果を基に反省会を開いたんだけど、何が悪いのかさっぱりわからなかったんだ。

唯一、「従業員満足度について何もわかってない」って事だけが分かったんだ…

何に満足するのか?

この経験を比較的間近に見ていた僕は、「環境改善は従業員満足の本質ではない」って思ったんだよ。極端な例をあげると、作業環境の改善が従業員満足度を向上させるのであれば、社員に最高の作業環境を与えれば状況的に蟹工船でも従業員満足度は下がらないはずなんだよ。従業員満足度を向上させるためには、「人は何に満足を得るのか」って事を考えなくちゃならないんだ。

でも、考えても答えは見つからないと思うんだよ。だって、人が満足を得られるモノって人それぞれで異なっているからね。仕事においては同じかと言うと、そうでもないと思うんだ。よく「やりがいのある仕事」って言葉を聞くけど、「やりがい」について突き詰めていくと人によって異なったりするんだよ。例えば、僕は「病気の経験を活かす」事に満足を覚えるし、「定時に退社すること」「高い給料」「上司部下とのコミュニケーション」なんて人も多いと思うんだ。

これじゃ、従業員満足度を向上させるために何をしたらいいのか分からなくなっちゃうかもしれないよね…。全部に対処しても良いけど…社員が10人くらいの会社ならともかく、多くなるとキリが無くなっちゃうと思うんだよ。では、どうすれば従業員満足度を向上させられるのかな?

従業員満足度を上げてもらう!

例えば、ある男性に告白しようとしているんだけど、なかなか告白できない女性が居たとするよ。その女性が相談してきたとして、その女性に何をしてあげられるかな?なんで告白が出来ないのか聞いてみて、こうすれば良いんじゃない?って提案してみて…。色々すると思うんだけど…結局してあげられるのは「その女性の背中を押してあげる」事だと思うんだ。告白って自分でするから価値がある(満足できる)って、無意識的に感じているからなんだよね。

従業員満足度向上も同じ感じなんだよ。社員の満足を得られる目標に対して、「背中を押してあげる」のが向上施策になるんだ。自分で目標を達成することで満足感を得られるって事なんだ。これが、以前の記事に書いていた「社員に満足度を上げてもらう」って事なんだよ。ここが、一般的に会社で行う施策と異なるところなんだ。

でも、社員が自分勝手に満足度だけを追いかけてしまうと、給料泥棒だらけになっちゃう可能性があるんだよ。だから、社員に考え方を浸透させる必要があるんだ。