『信頼の構造: こころと社会の進化ゲーム』を読んでみたよ

今回は『信頼の構造: こころと社会の進化ゲーム』を読んでみたんだ。この本にたどり着いた経緯は、Wikipediaで「信頼」を調べたら、引用がすべてこの本だったんだ。しかも、Wikiに図が載っているんだけど、Wikiの本文ではまったく理解できなかったんだよ(^_^;)そんなわけで、本書を読んでみようと思ったんだ。

本書を執筆されている山岸 俊男さんなんだけど、なんと2004年に紫綬褒章を受勲されているんだ。ちょっとWikiで調べたんだけど、理由までは分からなかったんだ。おそらく、信頼の研究で社会貢献をされたんだと思うんだ。

内容は「集団主義社会は安心を生み出すが信頼を破壊する」というテーマにしたがって話が進んでいくんだよ。まず、信頼の定義から始まり、テーマに対する理論展開、各理論に対する実験とその結果、そして結論って感じなんだ。文中に難しい言葉がたくさん出てくるんだけど、その度に例をあげて丁寧に説明が載っているので、とても勉強になるし好感が持てる本になっているんだ。

従業員満足度向上活動をしていると「信頼関係の構築」ってキーワードがいたるところに出てくるんだよ。でも、「信頼って何?」って考えると「~な感じ」ってなって(僕自身を含めて)明確な答えが得られないんだ。個人心理学観点(幸せになる勇気)では「信頼とは他者を信じるにあたって、一切の条件を付けないこと」って定義されていたけど…。社会心理学観点だと、「相手の人格や相手が自分に対してもつ感情についての評価」のなかの「情報依存的信頼でない他者一般に対する信頼」って定義しているんだ。

…なんだか難しいこと言っているけど…個人心理学で言っている「他者信頼」は、社会心理学で言う「信頼」の中でも「情報によらない信頼」ってことが分かったんだ。

ただ…本書の残念なところは、この「他者信頼」を高める原因について結論には至れてないんだよ。それでも、社会的知性にヒントがあるところまでは載ってるんだよ。そういう意味で、たまにある本のように意図的に隠しているって事じゃなくって、まだ結論に至れてないようなんだ。これからも研究し続けるそうなので、今後の出版に注目していきたいんだ。