『影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか』を読んでみたよ

今回は「影響力の武器[第三版]」を読んでみたんだ。この本の主題は副題にあるとおり「なぜ、人は動かされるのか」ってことなんだよ。筆者は、さまざまな「騙し」のテクニックを使っている現場に潜り込んで、「人を騙すテクニック」を研究したそうなんだ。

で、「なぜ僕がこの本を手に取ったか?」なんだけど…「騙される」ことと「内発的動機付け」に強い関連性があるんじゃないかって思っているんだ。「騙す」ってことは、「しなきゃいけない」または「したい」って思わせることって言い換えられるんだ。これを、良い意味で従業員満足度向上に使えたら…もっと効果的に従業員満足が向上できるんじゃないかって思ったんだよ。

本の目次は…

  • 第一章 影響力の武器
  • 第二章 返報性―昔からある「ギブ・アンド・テイク」だが
  • 第三章 コミットメントと一貫性―心に住む小鬼
  • 第四章 社会的証明―真実は私たちに
  • 第五章 好意―優しそうな顔をした泥棒
  • 第六章 権威―導かれる服従
  • 第七章 希少性―わずかなものについての法則
  • 第八章 手っとり早い影響力―自動化された時代の原始的な承諾

ってなっているんだ。

もちろん、この中でも従業員満足に使える方法と使えない方法があるんだ。なかでも「返報性」「コミットメントと一貫性」「社会的証明」は従業員満足向上に使えそうなんだ。特に「コミットメントと一貫性」は、ワークショップの常套手段なんだ。ワークショップの最後に参加者の前で、「私は~をします」って宣言させるんだよ。まさにこれは、参加者と自分の間で、コミットメントをさせて行動に移させる…悪く言えば「騙し」のテクニックの一つなんだ。

印象に残ったところを2つ…

「社会科学者によれば、人は自分が外部からの強い圧力なしに、ある行為をする選択を行ったと考えるときに、その行為の責任が自分にあると認めるようになります。そして価値ある報酬というのは外部からの圧力の一つです。」(p150)
これはエドワード・デシの「人を伸ばす力―内発と自律のすすめ」に書かれていることと同じなんだ。モチベーションを上げてもらおうと思うなら、そこに必要なのは「自分で決める自由」と「自由に対する責任」なんだよ。ここでは基本的に「騙し」のテクニックとして紹介されているけど、子育てでも有効だって言っているんだ。

「自由な選択が制限されたり脅かされたりすると、自由を回復しようとする欲求から、私たちはその自由(および、それに結びつく物やサービス)を以前より強く求めるようになります」(p388)
まさに前出の「自由と責任」に対峙する考え方なんだ。つまり、「自由を脅かされると、人は自由を求める」ってことなんだよ。もし、会社から社員に対して「XXXを使え」とか「XXXをしろ」って言ったとたん、社員は選択の自由を求めて「XXXを使わない」「XXXをしない」という選択をするんだ。

「自由と責任」と「選択の自由」この2つが、従業員満足度向上のポイントなんだよ。

「社員を騙すつもりか!」って思った方もいるかもしれないね。「騙す」って言うと聞こえが悪いよね。「社員に強制力を使わず、内発的動機付けを持ってもらう」ためには、このような手法も必要なんだよ。「騙した」「騙された」ではないんだ。最終的に、社員一人ひとりが成長して、会社の雰囲気が良くなって、従業員満足度が上がれば…それは「会社への感謝」につながるんだよ。