『おとなが育つ条件 ― 発達心理学から考える』を読んでみたよ

今回紹介する本は『おとなが育つ条件 ― 発達心理学から考える』だよ。従業員満足度で対象としているのはもちろん社員であって“おとな”なので、この本を読んでみたんだ。発達心理学って言うと、人間が生まれて死ぬまでにどのように発達していくのかがメインなんだけど、この本は大人の発達に限定しているんだ。

まずは目次

まず目次は以下の様になっているんだよ。

はじめに-発達するのは子どもだけではない
第1章 発達とは何か
第2章 おとなの知力とは-子どもの「知能」とおとなの「賢さ」
第3章 感情と人間関係-おとなを支えるネットワークの発達
第4章 家族の中でのおとなの発達1-結婚と夫婦関係
第5章 家族の中でのおとなの発達2-「親になる」こと/「親をする」こと
第6章 私はどう生きるのか-アイデンティティ、生き方、ジェンダー
第7章 幸福感-何がその源泉か
結びに代えて

以前紹介した『父親になる、父親をする - 家族心理学の視点から』と同じ著者なので、少し内容が重複しているんだ。同じ著者だとは思わず読んでいたんだ。「親をする」ってキーワードを見て、家に帰って『父親になる、父親をする…』の著者を確認しちゃったんだよ。

大人も発達する?

最近の発達心理学の本では必ず書かれていることなんだけど…。以前は発達は子どもがするもので、大人は衰退する一方って言われていたそうなんだ。でも、最近の発達心理学では、「人間は生涯、発達し続ける」って必ず書かれているんだよ。

確かに脳の発達(ややこしいな…脳細胞の数)は、成人になってから減り続けるんだけど…。成人以降は脳細胞の数こそ減り続けるものの、それを補うだけの経験や道具を使えるってことなんだ。ここで言っている発達は出来ることが増えることじゃなくって、人格の向上と言うか…そっちの方がメインなんだけどね。

大人の発達のポイントは2つ

大人の発達のポイントは大きく2つあると言っているんだよ。1つめは、「アイデンティティの探求」だって言っているんだ。もう一つは「ケアすることはおとなの心と力の発達を豊かにする営み」だって。アイデンティティってなんだ?ケアってなんだ?って感じはするけど…詳細は本書を読んでもらうとして…

アイデンティティの探求

アイデンティティって日本語で言うと「自己同一性」ってことらしいね。要は「自分が何者であるかを認識している」ってことかな。自分の得意技は何で、自分は何を望んでいて、自分は何をしたくて、何のために働いていて、自分は将来どうなりたくって…ってことを認識することって感じだね。

これって、人生目標って言えるんじゃないかな。人生目標を決めるのってそう簡単では無いんだけど、でも「実現できそうな人生目標」ってものを持てると、なんだか人生に対してモチベーションが高く保てるんだよね。ちなみに…「実現できなさそうな人生目標」のことを僕は「妄想」って呼んでるんだ。「妄想」だとなんだかモチベーションて保てないんだよね。ポイントは「実現できそうな」ってところ。

「実現できそうな感じ」がすることを「有能感」とか「自己効力感」って言うんだ。いくら仕事で目標管理をしていて、「高い目標」「チャレンジングな目標」って言われても、この「有能感」「自己効力感」を持てないと、それに向かって進もうというモチベーションが保てないんだ。結局、評価する時に半年・一年前に立てた目標を忘れちゃってるってことが発生しちゃうんだよね。

ケアすること

ケアって言うと、「介護」をイメージしちゃうかもしれないね。ここで言うところのケアは、いわゆる「心のケア」ってやつで、「心のモヤモヤをスッキリさせる」ってことなんだ。でもでも、ケアって言うと、男性は「悩みを解決すること」って捉えがちだよね。女性は(想像だけど)「悩みに共感すること」って感じなんじゃないかな。(これって「男女の喧嘩の原因」って言われてるやつだよね)

「悩みを解決するような会話」を「リポートトーク」、「悩みに共感するような会話」を「ラポールトーク」って言うんだ。(「ラポール」ってNLP(神経言語プログラミング)で出てくる用語でもあるんだよ)大人の発達を促すには、「ラポールトーク」が必要みたいなんだ。「ラポールトーク」をするためには「共感」する能力が必要で、「共感」するには「相手の気持ちを汲み取る」必要があるんだよね。でも、相手の悩みを聞いて「あぁ、この人はこの悩みを解決したいんだな…」ってなっちゃったら、「リポートトーク」になっちゃう。そうじゃなくって、「共感」のために「相手の気持ちを汲み取る」ってことなんだよ。

リーダーシップのとり方に「課題解決指向」と「人間関係指向」ってのがあるけど、これにもつながるような感じがするよね。世の中のコミュニティーの多くは、仕事と違って人間関係を大切にする傾向が強いんだ。例えば、近所付き合い、友人関係、同好会、夫婦、親子、課題解決よりか人間関係が強いよね。そういうコミュニティーに飛び込んで、ラポールトークが出来るようになることが、大人の発達を促進するって言っているんだ。

ちょっと焦りを感じちゃったんだ

そんな感じで自分の身の回りを俯瞰してみると…、家族、親子、仕事の関係しか無いことに気がついちゃったんだ。そんなわけで少しIBD自助会(埼玉IBDの会)が気になり始めたんだよ。先日、嫁に「IBD自助会に入ろうかな…」ってつぶやいたら、「どうして?」って聞かれて…なんだか恥ずかしくなって理由を言えんかった(笑)僕の場合IBD自助会入っても、症状がかなり軽い方だから、浮いちゃいそうだけどね…。