『成人発達理論による能力の成長』を読んでみたよ
ちょっと、夏バテなのかストレスなのか、体の調子が悪くて…読むのに時間がかかっちゃったんだ。言い訳は置いといて…以前紹介した『なぜ部下とうまくいかないのか』の著者の加藤洋平さんの第二弾の本になるんだ。「成人発達理論」の理解が深められるじゃないかって事で手に取ってみたんだよ。
まずは目次だよ
いつも通り、目次から見ていきたいんだ。
序章 自他成長を促す「知性発達科学」
1 能力開発に有益な知性発達科学とは
2 ロバートーキーガンが提唱する「器」の成長モデル
3 カート・フィッシャーが提唱する「能力」の成長モデル
4 本書の実践的活用法
第1章 「ダイナミックスキル理論」とは
1 「ダイナミックスキル理論」の概要とその誕生の背景
2 能力の成長プロセスを何かに喩えてみる
3 スキル開発の問題
4 能力の「環境依存性」
5 能力の「課題依存性」
6 能力の「変動性」
7 「サブ能力」に焦点を当てる
8 「最適レベル」「機能レベル」「発達範囲」とは
第2章 大人の能力の成長プロセス
1 「マクロ」「メソ」「ミクロ」な成長
2 「フラクタル」な能力の成長
3 能力の「ネットワーク的成長」
4 成長サイクル内で見られる「質的な成長」と「量的な成長」
5 能力の成長に関する5つの法則
6 第1法則:統合化
7 第2法則:複合化
8 第3法則:焦点化
9 第4法則:代用化
10 第5法則:差異化
第3章 自他の能力レベルを知る
1 「レベル」とは「高さ」や「深さ」である
2 なぜ自他の能力レベルを知ることが大切なのか
3 フィッシャーが提唱する5 つの能力階層
4 5つの能力階層と「点・線・面・立体」の成長サイクルとの関係
5 フィッシャーが提唱する13の能力レベル
6 言葉の力と実践力の密接な関係
7 抽象性と再現性
8 一流のアスリートと持論形成能力
9 知識の圧倒的な欠落と言語化の鍛錬不足
10 フィッシャーが提唱する能力の高度化の意味
11 プロフェッショナルに求められる能力レベル
第4章 既存の能力開発の問題点とその改善法
1 既存の能力開発の問題点
2 問題点1:変動性の無視
3 問題点2:生態学的妥当性の無視
4 問題点3:多様な能力領域・多様な成長プロセスの無視
5 どうすれば成長を促すトレーニングが実現されるのか
6 変動性の3種類のノイズ
7 1人ではできないことを「できる」に変える
8 他者を通じたさらなる成長と他者のさらなる成長を支援するために
第5章 「マインドフルネス」「リフレクション」「システム思考」との統合
1 マインドフルネス瞑想の落とし穴
2 マインドフルネス瞑想の有効活用
3 フロー状態を生み出す
4 リフレクション(内省)の落とし穴と有効活用法
5 概念化とシステム思考
おわりに さらなる自他成長へ向けて
こんな感じの目次なんだけど…『なぜ部下とうまくいかないのか』では、ロバート・キーガンさんを推していたんだけど、今回は少し違う感じなんだ。読んでみるとわかるんだけど、カート・フィッシャーさん推しになってるんだよ。いや…推しって表現は誤解を生みそうだね…。カート・フィッシャーの理論を基に展開しているって感じなんだよ。
と言っても、「成人発達理論」の内容には変わりないよ。
人はどのように成長するのか?
SE業界において「成長」って言うと、「技術力の向上(そもそも技術力って何?って事は置いといて…)」って感じだと思うんだ。もちろん、それも大事なんだけど、この本の主題は「人はどのようにして器が成長するのか?」なんだ。
「器」って言われても…何のことやら?って感じだと思うけど…。僕の思うところは「視座が高く、視野が広く、視点が妥当に(鋭く)なること」って感じかな。これって…人によって価値観が違うように、「器」の定義も人によって違うんだろうね。むしろ…価値観が違うからこそ定義も違うのかな?
ここで1つひとつを説明することはできないんだけど、構成主義的発達論だけあって、様々な理論を使って「人はどのようにして器が成長するのか?」を、丁寧に説明しているんだよ。つまり、「人にどのようにしたら器を成長してもらえるか?」も理解することができるんだ。
と偉そうな事を言っても、沢山の理論が載っているので、僕も咀嚼しきれていないんだ。僕はまず読むことを最優先しちゃったけど、本書のところどころに「成長レシピ」としてワークが載ってるから、それをやりながら読み進めると理解が進むと思うんだよ。
スキルの向上について
僕はついこないだまで、スキルの向上について懐疑的だったんだ。「器」さえ成長させれば、スキルは勝手に付いてくるって…。最近、我に返って「両輪」なんだよな…って思うようになったんだ。つまり、スキルだけでも器だけでもダメって…。
何というか…例えば正三角形があって、この正三角形は歪みが発生すると、正三角形に戻ろうとする特性があるとして…。底辺がスキル、高さが器って例えると…。底辺(スキル)が広がると正三角形に戻ろうとして高さ(器)を高くする…逆に高さ(器)が高くなると底辺(スキル)を広げるって感じかな?お互いに影響しあって、大きな正三角形になっていくと…。(分かりづらくてごめんなさい…)
まぁ、SEを想像するに、スキル(フィッシャーさん曰く「知識や経験の総体」)を積むのは現場で嫌ってほど出来ると思うんだ。でも、器を大きくする機会がかなり少ないんじゃないかな?そういう意味で、従業員満足向上って観点からすると「器を大きくする機会を提供し続ける」が大切になると思うんだよ。
「マインドフルネス」「リフレクション」「システム思考」
目次を見た時に、ちょっとこの3つが上がっていたのが不思議だったんだ。でも、読んでみたら納得なんだ。この3つの手法は僕の職場でも「使ってる&使いたい」って手法なんだ。もちろん、この3つの手法自体は素晴らしいものなんだけど…。加藤洋平さんは「目的を忘れないように」って注意喚起しているんだ。「やることが目的にならないように…」って。
少し話が逸れるけど…
何事でも「手段の目的化」は無駄を作り出すよね。一人でこれを解消するのは意識していれば大丈夫かと思うんだけど…。難しいのは、組織において手段の目的化を防ぐことなんだ。人それぞれ、視点の高さが違うから、ある人の「目的」であるものは、別の人から見ると「手段」だったりしちゃうんだよね…。視点が高い人がマネージメントしていれば問題ないかもしれないけど…。
まぁ、とにかくそれぞれの手法の目的を忘れずにってことで…僕はマインドフルネスが気になったんだ。今度、座禅でもしに行ってみようかな…。
「問い」の答えは「問い」
全体を通して印象に残ったところを紹介したいんだ。
まさに、私たちの成長の本質は、問いに答えるというよりもむしろ、問いを立て続けていくことにあるのだと思います。新たな問いを立てることによって、結果として、以前の問いに答えることができていた、というような経験をしたことのある方もいらっしやるのではないでしようか。
つまり、私たちが問いに回答を与えるのではなく、自らの新たな問いが以前の問いに回答を与えることになっていた、というような不思議な現象が私たちの成長プロセスの中に見られるような気がしています。
問いが問いに答えていく、というのは大変興味深い現象であり、そうしたプロセスが永遠に続くことが、私たちの成長プロセスの本質なのでしよう。
コラムの中の一文(三文?)なんだ。今まさに僕が経験している状態にあるんだよ。一つ目の前の課題をクリアすると、もう一つ上位の課題にぶつかるんだ。いやむしろ、上位の課題に気づくことによって、目の前の課題がクリアされる感じかな…。メタ認知って言うのかな…。本書では「点→線→面→立体(点)」って表現しているんだ。成長し続けている証拠なんだろうけど…「上位の課題になればなるほど苦しい」ってこういうことなのか!って実感しちゃってるんだ。苦しいから…乗り越えたいんだ!
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